こんにちは、ジョンです。「Enterprise AI Trends」の日本語版を始めました。
まだ日本語を勉強中なので、ところどころ間違いがあるかもしれません。
翻訳にはChatGPTの助けを借りています。読んでいただき、ありがとうございます!
For English version, check out this link.
今やバイブコーディングは、あらゆる場所で目にするようになった。Claudeでは作成物をそのままアプリとして公開できるし、Airtableはスプレッドシートをバイブコーディングで操作できるようにアプリ全体を作り直した。今週だけで似たようなニュースがいくつも出てきている。
ここまでくると、どのプラットフォームも危機感を覚えている。
「どうすれば、ユーザーが自社の土台の上で動き続けてくれるのか?」
答えは見えている。バイブコーディングは、あらゆる場所に広がる。
もはや単なる機能ではなく、リテンション戦略そのものだ。
そして、ゲームのルールも変わっていく。
ブログを書くよりアプリを作る方が早い世界では、ソフトウェアの経済そのものが揺らぎ始める。
今回はその影響と、誰が勝ち、誰が押し出されていくのかを整理したい。
インプリケーション1:「マーケットプレイス」の時代は終わり。今後は“作る場所”を奪い合う
今後の本当の勝負は、「バイブコーディングを提供するか」ではない。
ユーザーが自分のワークフローを作り、共有し、動かす“デフォルトのアプリ作成空間”になれるかだ。
ただし、これは従来のSaaS成長モデル──連携マーケティングやマーケットプレイスによるエコシステム構築──を完全に崩壊させる。
これまでのプラットフォームは、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)を集めてマーケットプレイスを育ててきた。ISV側は配信チャネルを得られ、プラットフォーム側は生態系を広げられる──という持ちつ持たれつの関係だった。
だが今や、バイブコーディングによってエンドユーザーが必要なものを自分で瞬時に作れるようになった。
購買プロセスを完全にスキップできるなら、そもそも“買う”必要がない。
当然、ISVの交渉力は下がる。そしてそれは、プラットフォームにとっても同じだ。
もはや既製品を売るマーケットプレイスより、ユーザー自身がプラットフォーム上で直接アプリを作ってくれる方が、エコシステムとしての価値が高い。
たとえば、スプレッドシートをそのまま編集して、離れることなくワークフロー化できるなら、なぜ他に行く必要があるだろう?
しかも、データもパーミッションもトリガーも、すでに内蔵されているならなおさらだ。
こうした新しい構造は、プラットフォームを持つ既存プレイヤーにとって有利に働く。
NotionがClaudeと連携した編集機能を提供するなら、AIネイティブな文書作成スタートアップにどんな勝ち筋が残る?
Airtableが1プロンプトで社内ツールを出荷できるなら、Hebbiaはどう差別化する?
いったん「デフォルトのアプリキャンバス」になったら、乗り換えは“自由”ではなく“負担”になる。
マーケットプレイスモデルはもう古い。
これからの戦略はシンプルだ。ユーザーに作らせろ。
作らせたら、自分たちでホスティングせよ。
そして、離れる理由を1つも残すな。
もちろん、ISVやマーケットプレイスが完全に消えるわけではない。彼らもまた進化し、プロダクトの質は上がっていくだろう。
ただ1つ確かなのは──バイブコーディングはISVの交渉力を削ぐ。
インプリケーション②:バイブコーディングは既存プレイヤーが若手を飲み込むツールになる
バイブコーディングは、もともと破壊的なテクノロジーとして期待されていた。
だが実際には、統合のためのツール──つまり、既存プレイヤーが新興スタートアップを飲み込む手段になりつつある。
わかりやすい例が“配信チャネル”だ。
既存大手はすでにユーザー、ワークフロー、データを握っている。
そしてバイブコーディングは、そこにスタートアップのイノベーションを吸収する能力まで与える。
やがて、バイブコーディングはBig Techにとってのマーケティングファネルになる。
ホスティング課金の新しい入口として機能するのだ。
SaaSの既存プレイヤーは、ユーザーの関与度を高め、利用面積を拡げるための武器としてこれを使う。
どちらにせよ、勝つのは“胴元”だ。
スタートアップに勝つ必要はない。囲い込んで、ユーザーに作らせればいい。
つまり、AIネイティブなスタートアップが新しいユースケースを追い求めている間、
既存プレイヤーはそのユースケースをユーザー自身に再構築させている。
アイデアも、機能も、すべて同じ。
でもアカウントの切り替えすら必要ない。
インプリケーション③:価格モデルがひっくり返る
従来のSaaSでは、「使う人」がお金を払った。
でもバイブコーディングの世界では、「作る人」が課金対象になる。
Claudeの共有アプリで、静かにこの構造変化が始まっている。
アプリを作ってシェアすれば、誰でも無料で使える。
でもその計算リソースの代金は? 作成者のClaude料金にのる。
これはSaaSの基本前提を覆す。
今までコードを書くことの“摩擦”が希少性を生み、それが収益モデルを支えてきた。
でもその摩擦が消えつつある今、マネタイズの方法自体を見直す必要が出てきた。
アクセスを売るのではなく、“リーチ”や“ブランド”や“後続コンバージョン”のために利用を補助するモデルへ。
コードがコンテンツになる。
そしてコンテンツは、知っての通り、直接収益化が難しい。
この構造では、やはりプラットフォームが勝つ。
Claudeはコンピュートで稼ぎ、Airtableはユーザーを引き留める。
そしてあなた──ビルダー──は、もはやベンダーではなく**「顧客」**だ。
露出を収益に変える戦略がなければ、バズは負債になる。
これはもはやSaaSではない。
インプリケーション④:シャドーITが指数関数的に拡大する
バイブコーディングによって、エンタープライズはガバナンスの再設計を迫られる。
これまでは、社内でアプリを作ったり共有したりするには、さまざまな“関所”が必要だった。
なぜなら、ソフトウェアの開発や運用には高いハードルがあったからだ。
だが今や、ChatGPT や Repl.it といった外部サイトから、ワンクリックで社内アプリを立ち上げられるようになった。
当然、これはガバナンス上の問題を引き起こす。
短期的には「現場の裁量権が拡がった」と見えるかもしれない。
でも長期的には、カオスだ。
たとえば、ある社員がRepl.itでツールを作って、社内データを漏らしてしまったら?
「Repl.itをファイアウォールでブロックすればいい」と言うかもしれない。
でも、同じようなサイトは他にもいくらでもある。
誰かがこのスプロールを管理しなければならない──それがセキュリティ事故になる前に。
そしてそれは同時に、エンタープライズ向けに製品を売るスタートアップにとって、
競合は他のSaaSではなく、**現場ユーザーが勝手に作った数千の“非公式アプリ”**になるという意味でもある。
しかも、そのユーザーたちはもうデモを待っていない。
すでに作り始めているのだ。